ブルーがいっぱい

鶴見さんが何を思ったのか、「ロックフォール祭り」と言い出した。
祭りらしい。
ふくろ祭りは随分前に終わったが。

暫くして、チーズの乗った大皿が目の前に供された。
皿の円周に沿って、三角形にカットされた様々なロックフォールが7種類並べられていた。
ロックフォールといえば、3大ブルーチーズの一つと言われているが、ロックフォールといっても色々。7種も並ぶと、チーズ自体の質感や、青黴の入り方などそれぞれ。パッと見、セミハードっぽいものとソフトなものとで大きくは2つのタイプに分けられるよう。
今回のロックフォール7種は次の通り。
 ・Occitans L'Arbas
 ・Occitans La Pasutourelle
 ・Papillon
 ・Societe Baragneudes
 ・Gabriel Coulet
 ・Yves Combes
 ・Carles
なかなかの賑わい。確かに祭りだ。鶴見さんもそう言った。だから、祭りなのだ。

さて、何を飲もうか。
伊藤さんと話しをして、Frederic Cossard の Pink Chassornadeに決める。ピンクというよりは薄めのアップルジュースのような色をした、ほのかに甘さのある発泡酒。細かいことをいうと、ピノ・ノワールで仕込むペティヤンで、ちょっと珍品系に入るのかもしれませんが、流石にコサールは美味いです。というわけで、やはり祭りには泡だ。
それぞれのチーズの能書きはおいておき、早速、試してみる。
最初は、冷蔵庫から出してカットしたばかりのものを、一通りつまむ。その後、ちょっとだけレンジで室温位に温めてみる。
皆さんの想像する通り、温度が馴染んで(今回はやや無理矢理に温度を上げたが)からの方が、チーズ自体の質感も香りもふくよかになる。ワインでいう、閉じていたのが開いてくるというのにニュアンスが近いか。

【Occitans L'Arbas】
舌触りがサラサラして、コロコロとした粒が転がるのを感じる。味は濃い目でしっとりとしているが、ライトでしつこさはない。熟成感より若さを楽しむものに感じられる。
こじんまりとしているが、うまく纏まっていて食べやすい。食感、フレーヴァーの素朴さが良い。

【Occitans La Pasutourelle】
こちらも舌触りがサラサラとしているが、L'Arbasと較べると粒度が更に細かく感じられる。
軽めでこなれたフレーヴァー。サラリとした塩分感は黴の風味との相性がピッタリ。コクが粒になって喉の奥でコロコロとしているよう。味自体は濃い目だが、爽やかさも感じられる。名前に因んでか、明るい陽の下、麦藁の上で寝転んでいる昼下がりといった印象。

【Papillon】
シルキーな口当たりが、直ぐに舌の上で溶けていく。
クリーミーな触感が舌の上で消えていった後に、塩味と黴のフレーヴァーがしっとりと残る。青黴の風味はふわっと伸びやかで、塩味は強めだがしなやかな酸味もあり、上手くバランスがとれている。
余韻は特に長いというわけではないが、チーズのボディが溶けるのが早い分フレーヴァーが長く感じられ、品も良い。スーッとフレーヴァーが消えていくところは、ちょっと刹那的でもある。
今回のなかでは、青黴の柔らかさが最も感じられたもの。
個人的にはブルーチーズらしいブルーチーズといったイメージ。

【Societe Baragneudes】
独特。
湿度の高い洞窟の中のような黴くささがあり、他の物とは明らかにフレーヴァーの種類が違う。でも、これが良い意味での黴っぽさで、「うん?」と思って試していると、いつの間にか癖になっていたりする。
触感としては、滑らかではないのだが、チーズのボディが消えるように溶けていく。
フレーヴァーは、どことなく熟成したボルドーの赤ワインにも近い印象を受ける。

【Gabriel Coulet】
これもサラリとした舌触りがあり、喉の奥の方で細かい粒を感じる。ユニークな苦味がある。強い塩味はなく、羊乳感がよく立っている。青黴の風味も特に強いものでもない。独特の苦みにミネラルも感じられ、口の中で切り立っているような印象。余韻には湿った麦藁のようなフレーヴァーも感じられる。
バランスも悪くなく、最もエレガント。

【Yves Combes】
先ずはバランスの良さを感じる。
口当たりはソフトでスーッと舌の上で溶けていく滑らかさを持っているが、サラサラとした触感も残る。
チーズが溶けていくのに合わせて塩味がフワッと口の中に広がる。そこに青黴が追いかけてくる。そして、それらが混じり合い、暫くしてスーッとそのフレーヴァーが抜けていくと最後に羊乳の甘みがほのかに残っている。
口に入れた時から最後まで、色々な表情を見せてくれるのがこれ。

【Carles】
L'Arbasと同じような粒度の大きさが感じられる。塩味と青黴のフレーヴァーは大きいものではないがバランスは良く、品がある。
黴のフレーヴァーの間を縫って羊乳のフレーヴァーがちょこちょこと顔を出してくるところがチャーミング。クリーミーというタイプではないが、羊乳のニュアンスが気軽に楽しめるもの。

流石に7種類も試すと、あっちもこっちもとなって、グラスも空くのが早い。
途中からは、DOW'S 1977とCROFT'S 1966も登場して、そりゃぁ、もう大騒ぎなわけで。
それぞれのロックフォールと合わせながらだと、同じPORTでも全然違った印象になるが面白い。ざっくりとした感じでは、DOW'S 1977はより酸味が感じられるセミハード・タイプに、CROFT'S 1966はこなれたソフト・タイプのものに合うよう。

皆さんも自分にはどのタイプが合うのか、合わせる酒もどの組み合わせが合うのか色々と試してみると面白いのではないでしょうか。
個人的には、Yves CombesとCROFT'S 1966。

ただ、ロックフォール祭りは意外にお腹には重いかもしれない...(後の祭りの予感も)
それ以外にもチーズは色々と遊べるので、バランス良く楽しんで下さい。


西郷


2010年02月04日
トップへ戻る

ページの終了
ページの終了