Some Like It Sweet

クレインで通称ソサイエティと呼んでいるThe Scotch Malt Whisky Societyのボトルは、バックバーの一番上に番号順に左から並べられている。並びきらないものは、別の棚に乗せられているが、基本的には一番上の高さの段に並んでいることに変わりはない。
ただ、一番下の段に周りのボトルからは浮いた感じで、一本だけラインナップされているのも皆さんはご存じでしょう。
クレインでは、一番下の段には基本的にリキュールが並べられている。なので、その一本のソサイエティがモルトに由来したリキュールなのだろうと想像をすることは難くはないはず。
ただ見ている分には、以外に飲んでないかもしれないよう。それとも、一本だけあるので目立つため、何だろうと飲まれているか。

それはそうとして、今回は、たまたまカクテルか何かで使ったのかカウンターの上に置いてあった。
このところコラムが書けていなかったので、何か根多にしたいなと思っていると、鶴見さんが徐に前に出してきた。
「随分と久しぶりですね」
「たまには良いんじゃないですか」
本当に何年ぶりだろう。

 

200906301.jpgThe Scotch Malt Whisky Societyのメイン絵柄の下にLiqueurの文字が濃い茶色で大きく流れるよう字体で書かれている。樽番号は24番。マッカランだ。アルコール度数は43%となっている。
リキュールグラスに注がれたマッカラン・リキュールの色は、艶やかな琥珀色。見るからにトロっとした感じがエキス感の強さや甘みを彷彿とさせる。
グラスを上から覗くとグラスの六等分されたカットと縦にカーブした曲面に沿って、六角形の雪の結晶のような模様が浮き上がり、ライトを反射して煌めく。
勿論、(薬草系ではない)リキュールなので甘めだが、重くズシリとしたものでもなく、モルトのフレーヴァーが中から湧き出てくるように立ち上がってくる。
口に含んだそれは、リキュールっぽい甘みとモルトに由来する甘みが絡み合いながら舌の上で立ちあがり、フレーヴァーが口の中に広がっていく。飲み込むと、喉の奥の方から麦の香ばしい苦味が追いかけてくるように前の方へ出てくる。
全体が口に馴染んで余韻となると、口に含んだ時の印象にならって、上顎前方の脇には甘みが軽く残り、喉の奥の方ではモクモクと苦味ばしったフレーヴァーが漂う。甘みの割には余韻の切れは良い。ただ、二口目を口に含むと、今度は直ぐに苦味が程良くスパッと立ち上がり、甘みが先に立つのを抑えながらバランスを作ってくる。余韻が長く、はっきりとしている所以かと思われる。

 

200906305.jpg今回合わせてみるシガーは、久しぶりのDavidoff。何となくドミニカ産が良さそうな気がした。
「Special ≪T≫なんかどうですか」と勧められる。
「あ、面白いかも」
火を点ける方から吸い口に向かって細くなっていく長めの円錐形になっているちょっと珍しいシェイプ。
火を点けると軽やかで品がある。流石、Davidoffといった趣きが漂う。葉の青っぽい香りと、ややオイリーな香りがフワッと立つ。少し経って乾いた葉の焦げたような香りがフレーヴァーとなって乗っかってくる。
早く吸いすぎたのか、やや灰っぽさが感じられたので、先の灰を落としてシガーをちょっと休ませる。

マッカラン・リキュールを口に含む。甘みと苦味のバランスが、また口の中に広がる。そこでSpecial ≪T≫を改めてふかしてみる。
乾いた葉の香りが、やや湿ったようなニュアンスを残しつつ口の中でリキュールの残香と混じり合う。タフィーのような、柔らかめのクッキーのような、そんな香ばしさに口の中が一変する。黄色っぽい果実のドライフルーツのようなニュアンスも感じられる。
シガーが中ほどまで進み、香りがファットになってきたところでリキュールに合わせると、今度はドライフルーツのニュアンスの後に蜂蜜のほの甘く繊細なフレーヴァーが追うように立ってくる。
シガーのほの焦げたような余韻と蜂蜜の余韻が細く長く喉の奥、舌の付け根の方でゆらゆらと漂っている。いつまでも漂うその余韻は途切れる予感を全く感じさせない。

一杯と一本で軽く1時間半越え。

店にとっては、全く厄介な組み合わせかもしれない。

西郷


2009年06月30日
トップへ戻る

ページの終了
ページの終了