神の領域
Romano Leviの80年代物がやってきた!
ホームページ上で入荷の告知があったのは、8月1日。
それから暫くは音沙汰がなく、鶴見さんと話しをしても「まだ」とか「遅れているよう」という単語が出てくるのみ。
忘れそうになった頃に入荷の知らせが。ホームページ上では8月19日に報告されている。別に失踪なり逃亡の類ではなかったよう。都内のマンションにいるという噂もなければ、ましてや宗教法人に匿われていたという憶測も飛んではいなかった。ただ、会長はちょっと怪しいと思われるが、現時点では何が分かるわけでもない。
単に、イタリアだから仕方がない。しかも海を渡ってくるのだ。ちょっとくらいの遅れは気にしてはいけないのだろう。
で、そんな思いが交錯する(?)中、やっとやって来たボトル。取り急ぎにでも1つは試してみたいとなるのが人情というもの。というわけで、1本口が開いているのがあったので、それを飲もうかと思うと、「折角だから、新しいので」というお言葉ではと、それに甘えることに。
透明なものからとっぷりと色の濃いものまで。なかなか選ぶのが難しい。
見ればキャプシールも赤や緑や紫がかったものも。今までは通常のものは赤、ハーブ入りは緑というイメージで見ていたが、そういうわけでもなさそう(今回入荷したものではないけれど、銀やピンクといったものも見せてもらった)。
さて、どれにしようか。グラッパ本体の色を見ていると、透明だけれども、やや緑がかったものがある。樽の使い方や熟成させる期間の違いからか、琥珀の色系統の範囲で濃さが違ってくるのは良くあるが、ちょっと他の物とはニュアンスが違っていたので、それに決める。
ラベルには、30.dic.81の記されている。アルコール度数は51度。
「神の領域」
と言ったのは、鶴見さん。メジャーカップの残り香を嗅いだ時のこと。
目の前のグラスの中には、艶やかな照りをみせ、いかにも「俺、旨そうだろ」と言っているような奴がいる。しっとりとした質感が味覚をそそる。
グラスに鼻を近づける。グラッパから溢れる熟れた葡萄の優しい芳香がいっぱいに香る。その中にミント系の爽やかな香りが混じっているのが容易に分かる。白胡椒のようなスパイス感やオイリーなニュアンスも感じられるので、Extra Virginのオリーブ・オイルも連想される。
ほのかな緑色がかった外観に妙に納得する。光にかざしてみると、やや濁りがみてとれ、クリアーなものではない。やはり、一時的に何かを漬けたりしたのだろうかとも思われるが、特にそのようなことはラベルに書かれていないよう(イタリア語だから良く分からないし)。
ハーブやスパイスといった香りが落ち着くと、グラッパ本来の甘い香りが繊細に残る。スーッとしたニュアンスも強いが、ネットリとした質感が香りから伝わってくる。
香りを嗅いだだけなのに、堪能させられている。確かに、神の領域という言葉も抵抗なく受け入れられる。
さて、やっと口に含む。舌の上に乗ると、縦にフレーヴァーが盛り上がっていく感じ。横に広がっていくのとも違い、フレーヴァー自体が大きいという感じにはあまりならないが、その質感は確固たるもので、存在感のしっかりとしたもの。
味はメンタっぽいニュアンス。それがオイリーな質感に溶け込んでグラッパの葡萄のフレーヴァーの中に詰め込まれている感じ。個人的には、今まで味わったことのないタイプ。もしかすると、万人受けするタイプではないかもしれない。ただ、オイリーな質感とそこに凝縮されたフレーヴァー感は、非常に面白い。
終盤になっても、しっかりとして衰えを感じさせないし、ライムの香りなどが立ってきて、更に面白みが出てきたりもする。
香りの大きさや、終盤になっても衰えることなく、新しいニュアンスが立ってくることからすると、もう少し待った方が色々な顔を見せてくれそうな予感がする。
uva vigna muova,
uva vigna vecchia
これは、ラベルに書かれている言葉。
「新しい畑の葡萄、古い畑の葡萄」単語の意味を取っていくと、そうなるのでしょうか。
二つの畑。新しいものと古いもの。どんな畑で、新旧の違いはどんなものなのか。そして、それらを併せてこの1本を作ったのでしょうか。
そこから、こんなにも不思議で面白く、美味しいグラッパができたと思うと、色々と思い入れが勝手にできるというもの。
とはいっても、先ずは、飲みましょう。
西郷





