Dominican in Cuba

The Crane も20周年を迎えた。
それを記念して、新しいヒュミドールも届いた。グラスファイバー製のシルヴァーがクール。メーカー在庫がなく、スイス内のショップ在庫を確認したところ1つ残っていたものがあり、それを送ってもらったというもの。
ちょっとしたストーリーがかっていて、それも20周年というイベントに花を添える。
鶴見さんもヒュミドール内の湿度を落ち着かせるのに、暫く時間をかけて準備をしていた。

そこにちょっとしたプレミア物が届く。
Cuba産(!)のDavidoff。

 

2011080304.jpg長さや太さ、薄めの茶色のトーンも、同じDavidoffのAniversario No. 2というものと全く同じ。Churchillサイズで18cmほどあるため、存在感がある。長い!
出来が良いとされる同品と同じということもあり、ちょっと期待が高まる。
火を点ける前にVitolaの香りを嗅ぐと、通常のものよりやや乾いた熟成香が軽やかに香ばしい。やはり期待せずにはいられない。

因みに、大概、コラムを書く時は何か曲をかけながらだけれども、今回はPolice。ポスト・パンクのバンドには、結構レゲエを取り入れて曲を作るバンドもあり、欧州のミュージシャンはレゲエ好きだったりする。スイスのDavidoffがCuba産でシガーを作るというイメージに掛けてみたが、夏といえばサマージャンボみたいな強引さか。
そもそもDominicaだって地理的にはCubaと近いし...

 

2011080302.jpgそれはそれとして、火を点けてみる。最初の香りにやや焦げた感じが出る。それよりもボディがやけに軽い。焦げた感じは直ぐになくなり、素っ気ないがライトな葉の香ばしさが鼻腔をくすぐる。当てに啜っている黒ビールの苦みに乗っかってくる感じか。
「しかし、やけに軽いですね」などと言いながら進めていくと、次第にオイル感が出てくる。この辺になってくると、軽いながらも次第に芯の通ったものという印象になってくる。

流石にDominica産の物とは印象が違うが、産地の違い云々よりも、Cuba物でどこまでDavidoffの独自性を追求できるのかという方向性を感じ取ることができる。
こちらも、どのようにそれを表現していくのかという挑戦(?)というものに乗っかっていこうという気になる。

オイリー感の次に出てきたのはコーヒーのエキス感。葉の香ばしさの中から顔を出してくるそれが、徐々にとても透明感のある凝縮されたものになっていく。そのコーヒー感が更に葉の香ばしさと混じり合って、ややキャラメルっぽくなったかと思うと、一旦落ち着いて葉の香ばしさに戻る。
一旦、灰を落とすと、その直後に甘いフレーヴァーがふわっと出てくる。蜂蜜のような甘みに近いか。
余り灰を残さず、適当に落としながら進めていくのが良いよう。あまり籠らせるのは得策ではないか。
この辺で1/3ほど吸い進めたところ。
ここまでの印象としては、軽いが、フレーヴァーに雑味がなく引っかかりが全くない。純粋にフレーヴァーとしての存在感。また、紫煙の香りが外側に拡がっていくというタイプではなく、吸い口側のフレーヴァーとして楽しめるものということ。
実際、隣でシガーをやっているという感じがほとんどしないと言われた。

更に進めていくと、ちょっとフレーヴァーが荒くなる。葉や板の焦げた香ばしさというよりは灰のような感じになる。
「あれっ?」と思うも、その後からオイル感と板の焦げたような香ばしさが上手く混じり合いながら、それまでよりもファットな質感で立ち上ってきた。
「おおっ!」
ここからは吸い進めるたびに、これまでに感じられた個々のフレーヴァーが要素となって絡み合いながら、ある時はオイル感、ある時は蜜の甘み、ココアや木の焦げる香ばしさ等、それぞれに主張しながら幾つもの表情を見せてくれる。
ただ、それらは決して我を強く主張してくるのではなく、飽くまで軽やかさを失わず、品の良さを保ちながらに。飲んでいた黒ビールの方に酸味を感じるのが面白い。
そこがCuba産ながらDavidoffの看板を掲げているんだ、という製作側の挑戦/プライドの表れなのか、と感じ入る。

 

2011080301.jpg黒ビールの後は、SocietyのBUNAHABHAIN(シェリーどっぷりではないもの)を合わせてみる。シガーの軽さや品良さ、繊細に立ってくるフレーヴァーを考慮して、モルトでもフラット系で重くないものを、という路線からのチョイス。
元々、カスクストレングスのためアルコール度数が高いとはいえ、それでも、モルト側に重みを感じてしまう。しっかりしたボディの通常のCuba産なら充分に張り合えるし、シガーが勝ることもある。
選択の方向性としては間違っていないと思っているが、ある意味、ボディ感というよりシガーとしての完成度が勝っていたのもしれない。
中々、やってくれる。

後半にきても特に辛みが出てこなかったが、正に終盤にさしかかって、辛みがやや出てきた。スパイス感もあるが若干バランスが崩れてくるようにも感じられ、荒っぽさも目立ってきた。それでも、一般的にみれば充分保っている方。
1時間45分程度で終えたが、その後に気付いたこととして、指についた臭いまで軽く香ばしかったことは挙げておかなければいけないかもしれない。

「ありそうでなさそうな」というタイプの中でも、完成度はかなり高いものでは。
興味のある方は、クールなシルヴァーのヒュミドールから出てくるので、是非。


西郷


2011年08月04日
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