抜けが悪いこともありますが...

最近、ファストファッションのH&MのCMにブライアン・フェリーが出ているのを見た。
ある意味、衝撃的だった。
ブライアン・フェリーといえば、ソロでも地位を確立しているが、個人的にはどうしても Roxy Music のフロントマンとしての存在に強く魅かれる。バンド初期のカオスから最後の洗練まで、独自のアバンギャルドとダンディズムと貫いていたアーティスト。
CMの中ではダンディに決めてはいるが、やっぱりそこそこお爺ちゃん然とした感じも否めない。店舗の外壁に大きく掲げられた広告の中にもデカデカと良いお爺さんがいる。年月は経つもの。それと同様に自分も歳をとっているのだろう。仕方ないとはしても。変な感慨があったりする。
同時代的にフェリーの活動に触れたことがある人のフェリーへの一般的なイメージは、先ずはダンディ。浮名を流してきた相手も錚々たる方々。アルバム"AVALON"のジャケットに写る湖は住んでいたお城の敷地だし。となると、ブランド・イメージとしてもハイ・レベルになる。が、今回はファストファッション。
こんなことでは感じたくもないが、何となく世界的な景気感も感じられたりする。

そんな話しは一先ず置いておくとして、少々にクレインのHPのインフォメーションでも触れられていたキューバ産シガー3種。今回はその辺を。
その3種は次の通り。Cohiba Sublimes Edicion Limitada 2004、Cohiba Robusto 2004、DIPLOMATICOS Reserva Churchill 。


20111204.jpgその中で、DIPLMATICOSは今回クレインに初お目見えのブランド。キューバ革命後、最初に公に向けて販売された新ブランド(実際はCohibaの方が先に作られましたが、公には販売さていなかったため)で、元々、フランスマーケット向けにお値打版Montecristoとして製作されたもの。そのためサイズのラインナップも基本的にはMontecristoに準じている(とWikipediaにあった)。
ただ、今回のChurchillは現行ラインにはないもので、更にReservaというのが興味をそそる。
というわけで、早速。

火を点けた一口目。シガーの中に包まれているフィラーが強く巻かれているためか、吸い口が固い。強めに吸って軽く口の中に入ってくる感じ。形状も長いチャーチルなため、煙が口に届くまでのタイム感もやや長く感じる。
少し強めに吸って最初に感じたフレーヴァーはオイリー感。口内からヌルッとした揮発性のあるような香りが鼻に抜けると、乾いた葉の焦げたような香ばしさが残る。
ボディは軽めだ。そのまま2口3口と進めていくと舌先にピリッとした刺激を軽く感じる。
そこで、いつものように黒ビールを啜る。ビールがやけに軽やか。ほのかではあるが甘みも感じられる。ボディは軽く感じられるので意識していないが、味覚的には濃い目なのかもしれない。

そのまま1/3近くまで火が進んだところで灰が落ちる。その頃にはオイリーさは残っていながらもやや控えめになってきている。その控えめになった余地を埋めるようにスーッと抜けるようなハーブ感がミントとは言わないまでも感じられる。そのハーブ感を支えるのは最初に感じた刺激に由来する酸の感じ。軽やかな葉の香ばしさとハーブ感が良いバランスを作る。

 

20111203.jpgただ、吸い口が固いのが、どうも難だ。吸う際に必要以上に力を使うので、口元や喉がちょっと疲れる。それよりも、吸う時のストレスが葉巻を吸う際の心地良さを邪魔する。
これは良くない。正直、今回の1本はハズレかなと思う。別で試し直さないと...
鶴見さんが「切りますか」という。
広めにパンチカットはしていたが、駄目元で、吸い口を2mm程の厚みでカッター(所謂、ハサミ)で切り落としてもらう。
断面を見てみると色の濃淡が半々となっている。切り落とした方の断面は、色の濃い部分の方が大きいよう。その分、吸い口側は詰まっていて空気(煙)が通りにくくなっていたものと思われる。改めて吸ってみると随分と吸いやすくなった。
こういう軌道修正は適宜していくことも大事。

飲み物を変える。
Rosebank 15年。ストーン・ジャグに入った60年代のもの。キリッとしながらも、ほの甘い感じもあり、重くもない。随分と久しぶりに口にしたはず。やけに旨い。
スルリと滑らかに口の中に入ってくる。舌にRosebankの旨みが馴染んでいくのを暫く感じ入っている自分がいる。
思い出したようにというわけではないが、シガーを咥える。
気持がRosebankの方に行ってしまっているようで、シガーとモルトのフレーヴァーが拮抗するようにも感じられる。
水を飲んで気を取り直すように改めて。
先ずは、Rosebankを口に。やっぱり旨い。その余韻の残るところで、軽くDIPLMATICOSをふかす。木の焦げるような香ばしさが立ち、余韻が長くなるよう。シガーにあったハーブ感がそこに混じり合って複雑さが増す。
「結構、いけるじゃん。」
そんな感じ。
シガーとモルトの両方のフレーヴァーが立っているが、それぞれのフレーヴァーの重なりあう部分に膨らみが出て、結局、全体が纏まっていく。
逆にシガーをふかしてからモルトを口に含むと、シガーの香ばしさの上にモルトの香りがフワリと立上がり、更にそのフレーヴァーの下にモルトの甘みが柔らかく入り込んでいて、バランスの良く混じり合う。
シガーは長めのものだが、フレーヴァーについては、どちらかというと一定しているよう。
そのため、ゆっくりと安心して楽しめる1本だった。

 

20111201.jpgそういえば、80年代半ば、Fuji FilmのCMでフェリーがユラユラ踊っているのを思い出す。勝手に手の届くわけもないダンディズムの塊かと思っていたが、昔から以外に身近なところにいたのかもしれない。
過去に読んだ雑誌のインタビューでは、金持ち振りを聞かれたところ、セールの6足組の靴下を買ったとかいって笑っていた。もしかするとこの辺のCM出演とかが、フェリー自身、セレブなイメージとのバランス感覚を保つための軌道修正なのかもしれない。

思い切って切り落としてみるのも大事かと。


西郷


2011年12月09日
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